まず抱きしめてくれませんか?

 

20200215

飲み会。大勢で喋っているなかでも、初対面のゲストがちゃんと目を合わせてわたしの声を拾おうとしてくれているのがわかって、この感覚久しぶりだなと思った。

わたしは飲み会で自分の発言に注目されることが苦手で、普段はそういう場でほとんど喋れない。発言するならちゃんと面白いことを言わなきゃいけない、という圧が怖い。それを避けるために会話を受け流し続けていたら、いまの環境ではもうわたしが発言する隙間が作られなくなった。自分でそうしているんだから当たり前なんだけど。

でも本当は怖がったり諦めたりすることに慣れてる場合じゃないと思う。せっかく目を合わせてくれた人に、わたしはちゃんと何かを返せたんだろうか。
声が大きくなくても、自分はここにいていいって思いたい。


20200216

就活のために買った自己啓発本が大量に届く。何もやる気がしないとき、とりあえず自己啓発本を買うことにしている。普段はバカにしてるけど、読むと何かやらなくてはという焦りが生まれるから。書いてあること自体にはむかつく部分もあれば納得する部分もあるんだけど、「自己憐憫はやめなさい」と書いてある箇所があって、そりゃそうかもしれないけどうるせ〜よと思った。
落ち込んでいる人間に対して落ち込むな!って叱るのはどうなんですか?まず抱きしめてくれませんか?


20200217

東京の友人から電話。お母さんが倒れてしまって、入院や手術の手続きに追われているらしい。他の家族もなかなか頼れない状況なので、しばらくは仕事を休むことになりそうとのこと。
遠くにいて何もできないことは悔しいけど、わざわざ連絡をくれたことは嬉しかった。なんていうか、何もできないことがわかってても話したいと思ってもらえる存在であることが嬉しかった。

ようやく前向きに仕事を探し始める。といっても人に紹介してもらえそうな職場を調べてみるぐらいだけど。
イメージを膨らませるために東京の物件も眺めてみたりする。一人暮らしをしたことがないので相場があんまりわからない。東京の家って狭い上に高い。

 

20200218
また東京の友人と電話。お母さんの意識がいったんはっきりしたとのこと。今日は共通の友人が病室に来てギターを弾いてくれたらしい。

タリーズで面接の準備など。狭い喫煙室で、ずっとGスポットの話をしている男女がいて、おもしろいけど集中できない。でもおもしろい。肉体関係があるわけではないみたいだけど、共通の知り合いがたくさんいるっぽい。その上でセックスの話ばかりしている。どういう関係なんだ?

夕方、なんか職場の人の声がする…と思ったら裏庭にその人が立っていた。窓越しに半分食べたカツサンドをくれた。

 

20200219

紹介してもらった求人のオンライン面接。好印象だったのではないでしょうか。でも、違う職場でやっていく想像はまだまだつかない。

いままでこの職場への憧れが強すぎたと思う。ここで働きたいけど、自分には不相応だとも思っていたから、とにかくがんばらなきゃいけない、がんばってるだけじゃ追いつけないから、好きで好きでやってしまう状態にならなきゃいけないと思ってやってきた。でも結局苦しかった。面接に落ちたとき、とうとうそのことを認めなきゃいけない時がきたんだと思った。
認めるにはまだまだ時間がかかる気がする。

買い出しの帰り、近所で茶トラの猫を見た。急に道路に飛び出してきたのでびっくりしてブレーキを踏んだら、猫のほうもびっくりしていて、しばらく並走してから駐車場の奥に消えていった。車を停めてから猫を探しに行った。猫は塀の上にいて、遠くてよく見えなかったけど茶トラの猫で、あのときの猫に比べると毛足が長い気もするし、でも走るときにちょっと足を引きずっているようにも見えた。猫はあっという間に塀の奥に消えてしまったけど、元気でいてほしいなと思った。もう一度あの猫が目の前に現れたら、できる限りのことをしてあげるって決めている。

 

20200220

出勤するも全くやる気がわかず、ぼーっとPCのウィンドウを切り替え続けていたら一日が終わった。
やらなきゃいけないことはあるのに全く手が動かない。もうすぐ初めて自分が担当した企画があるけど、がんばったとしてもどうせ終わったらすぐに放り出されるんだし。
いままで何のためにがんばってたんだろう。

 

20200221

先輩と同僚が出張なので、ふたりを空港まで送っていく。早起きして、コンビニで朝ごはんを買って食べながらドライブする。良い天気。光が金色。
帰り道、ひとりで窓を開けたまま爆音で音楽を流して、空いてる高速道路を飛ばして帰った。他人に求められた役割を果たしたから今日はもう大丈夫、しかもまだ午前10時!という気持ちでいられるのは最高。本当に最高。

帰ってからは特に何もしなかった。

 

さっき触った骨は乾いていたのに


20200208

早朝に起きて東京へ。
飛行機が飛ぶ直前に、後輩たちへ「今日最後なのに行けなくてごめんあと3月で辞めます」と連絡する。いま持っている仕事くらい最後までやりきって終えたかったな。けど仕方ない。

結局喪服を手にいれることができなかったので、就活のスーツのまま家族と落ち合う。祖母の顔を見に行く。
晦日に会ったとき、祖母の目が澄んでいて妖精みたいと思ったんだけど、目を閉じているからもう妖精の目が見えない。
祖母は肌がすごく綺麗な人だったのだけど、唇や目の下の皮膚が黒ずんでいた。亡くなったのは昨日だけどその前から限界だったんだなと思った。

年末に祖母に会いに行ったときのことを書きます。
たぶん10年ぶりくらいに会ったんだけど、ああもう病院で暮らしていく人なんだなと思った。真っ白の髪が少なくなってほわほわ立っていて、ものすごく痩せていた。でも綺麗だった。目が妖精みたいだった。「〇〇が来たよ」と母が声をかけたら、祖母はものすごく時間をかけて「ああ、そう、わからなかった」と言った。わたしも何と言っていいかわからなくて突っ立っていたら、「ここは良いところよ、眺めが良いしね」と祖母が言った。確かに日当たりが良くて明るい部屋だった。薄オレンジのカーテンをめくったら、病院の駐車場と、真っ平らで何にもない群馬の町が見えた。「ほんとだ、遠くまでよく見えるね」振り向いたら、祖母は目を瞑ったままうなずいていた。

群馬はやたらと風が強くて、どの交差点でも信号機がグラグラ揺れている。
家族と小料理屋で晩ごはんを食べた。テレビなどの視線をそらせるものがない状態で家族全員でごはんを食べるなんてできるのかなって緊張していたけど、なんとかなった。みんなで祖母の思い出話をした。

祖母はちょっと抜けててお茶目でかわいい人で、昔父が誘拐に遭った話も自慢みたいに話していた。「(父)さんは昔すっごくかわいくてね、あんまりかわいいから車で誘拐されちゃったのよ、隣町で見つかったんだけどね、あんまりかわいいからおばあちゃんブラウスとか着せてあげてたのよ」
小さい頃はフーンと思って聞いてたけど、誇らしげに我が子が誘拐された話をするのは確かにちょっと抜けてるな。祖母にとっては誘拐されちゃうくらいかわいい、というところが自慢ポイントだったのかもしれない。
昔一時期だけ祖母が我が家に滞在していたことがあって、その時期祖母は乳酸菌カプセル入りのヨーグルトにはまっていた。これが体に良いのよ、ふたりも食べて健康になってねと進めてくれるんだけど、その力説のおかげでわたしと妹は「このカプセルのなかに菌がいるんだ、生きて腸まで届くんだ…」というリアリティを掴んでしまった。知らなければ普通に食べていたと思う。でもあのつぶつぶのカプセルのなかに生きた菌が入っていると思うとやたらと怖かった。でも祖母は善意で勧めてくれるので断れない。断れないけど、怖い…という気持ちを妹と共有していたあのかんじを、話しながら思い出した。

祖母の思い出が、自分の人生における出来事と確かに結びついていたことを思い出して、本当に、わたしの祖母が亡くなったんだなと思った。

ホテルに帰ってから、今日のミーティングをキャンセルしたことであまり良くない空気になっていることをメールから察し、夜中まで泣いていた。
祖母が亡くなったのに自分のことにいっぱいいっぱいで、いま自分の立場のために泣いていることが悲しかった。おばあちゃんごめん。こんなときに自分のために泣いててごめん。

 

 

20200209 

通夜も告別式もせず、祖母は親族のみで見送り荼毘に伏すことになっていた。
唯一、斎場に向かう途中で、祖母の住んでいた家に寄ってもらうことになった。入院している間じゅう祖母はずっと家に帰りたがっていたそうだから。
霊柩車を家の前に停めて、棺の窓を開けて、おばあちゃん家だよ、ずっと帰りたがってたおうちだよ、また後で帰ってこれるからもうだいじょうぶだよ。とわたしたち一家と父の兄一家で声をかけた。

斎場は古くて質素なつくりで、霊柩車の停まった場所から扉一枚中に入ったらもう炉の前だった。少ない親戚一同で祭壇の前をぐるぐる順番に巡って、お線香をあげたり棺にお花を入れたりした。
炉の扉を閉める瞬間、あの瞬間にしか発生しない気持ち、あの場にいる人たちが一瞬だけ共有する気持ちって一体何なんだろう。
炉を閉めたあと、みんなで順繰りにお水を汲んで祭壇に供えた。これから長い旅に出る故人が喉が乾いて苦しむことが無いように、とたくさんお水を供えてあげるらしい。五つの湯のみのうち一つは必ず水を入れたままにして、残りの四つに水を汲んでは流し、汲んでは流して全員で水を供えた。
葬儀ってやたらと手順が多い。その手順を言われるがままにこなすことで気持ちの整理をつけていくんだなと思う。自由に弔えと言われてもたぶんやり方がわからない、正しい悲しみ方がわからないと思う。こうやって手順が決められていると、自分はきちんと弔いに参加できているという気持ちになれるんだろうな。
骨壷にお骨を入れるとき、斎場の人が「故人様は腰や背中を患っていらっしゃいましたか」と言った。斎場の人は「お骨に色が入っているので」と骨を見せてくれた。確かに、ほとんどの骨は白いのに、見せてもらった骨は中が黄ばんでいて、悪いものが詰まっていたんだなとわかる色をしていた。「大きな病気を患っていたわけではないけど、寝ていることが多かったから負担がかかっていたのかもしれない」と叔父さんが答えると、斎場の人が「ではすごくがんばってくれたお骨だったんですね」と言った。
最後に顔の骨を入れる時、みんな素手で骨を手に取って骨壺に納めた。ここが頰、これが顎、これは額ですと説明されながら、顔の形を崩さないように骨壺に納めていった。わたしが渡されたのは目から頬にかけての骨だった。骨は軽くて乾いていて、見覚えのある形をしていた。肌が綺麗だった祖母の、ツヤツヤ光っていた頰の形だなと思った。

骨壷を祖母の家に持って帰ったら、玄関がまだ祖母の尿で湿っていた。どうやら救急車で搬送された日にいろいろあったらしい。さっき触った骨は乾いていたのに、祖母がどうしても離れたくなかった家にはこんなに生々しく痕跡が残っていて、生きてるって湿っているってことなんだ、と思ったりした。

 

 

20200210

帰ってきたけどほとんど眠れず。寝なきゃ寝なきゃと思っているうちに朝になっていた。

職場で昼ごはんを食べる度胸がなかったので、昼休み中ひとりで散歩していた。近所なのに歩いたことのない道がたくさんあった。大通りの裏はやけに入り組んでいて、他人の家の敷地内なのか駐車場なのか、単なる用水路の淵なのか歩道なのかよくわからない空間が多い。いろんなレイヤーが重なったまま雑然としてそこにあるかんじ。

歩きながら、いつになったらこの被害者意識が消えるのかを考えた。まだまだ生傷を晒しているという感覚があって、でもそんなの他人にはわからないから、何気なく生傷に触れられそうで怖い。傷がないどころかかさぶたにもなっていないことがバレたら、表面上だけでも対等に保っていた同僚たちとの関係がぶち壊れて戻らなくなると思う。「そんなこともありましたがわたしは自分の尊厳を失っていないしもっと良いところに行くので大丈夫ですよ」という顔をしたいけど全然無理。はやくこんな状態は脱したい。でもいつになったら脱することができるのかわからない。

全スタッフが集まるミーティングの間中、涙がマスクの内側に落ちるようにマスクをつまんで調整することに全身全霊をかけ、なんとか全てを乗り切って、ひとり車の中でマスクを外したら頰が涼しかった。

 

 

20200211

いままでお世話になっていた人に仕事を紹介してもらえることになり、その安心感からようやくきちんと眠ることができた。
祖母の死と仕事の件でどん詰まって、本当に一寸先も見えなかったけど、この先にも何かあるのかもしれないとほんのり思えてきた気がする。

起きてゆっくりクッキーをかじったり洗濯物を回したりする。午後外に出る。

いままで仕事と自己実現を結びつけすぎていたかもしれないなと思う。
面接の前日、友達から「あなたがやりたいと言ってることは自分のためのことで、面接官からしたらだから何?ってなると思う。もうちょっとその先に何を実現したいかとか…うまく言えないけどそういうことを話した方がいいと思う」と言われて、言われてることがよくわからなくて混乱したんだけど、自分がどうなりたいかじゃなくて、他人に何を与えられるかを伝えなきゃいけないってことだったのかもしれない。
わたしはずっと給料が安すぎて実績もなくて、一人前になるためにとにかく勉強しなきゃと思っていたけど、そもそも自分の仕事として引き受けるっていう感覚が薄かった気がする。
自分のための勉強じゃなくて、他人に何を与えられるかを考えなきゃいけないんだと思う。

深夜百太郎の「友達案山子」を読むたびにこのことを思い出す。なのにすぐ忘れてしまう。
印刷して壁に貼ったりしたほうがいいのかな。

 

 

20200212

職場の人から急にごはんに誘われ、緊張しすぎて朝から泣いていた。
たぶん単に心配してくれているだけなんだと思う。わかってても、生傷に触れられるかもしれないと思うと怖くて耐えられない。

結局先輩に着いてきてもらって、三人でしゃぶしゃぶ食べ放題に行ってフロートを飲んだりワッフル焼いたりソフトクリーム絞ったりしてめちゃくちゃ楽しんだ。しかも奢ってもらった。
年末に日付を超える仕事があったのですが、どうやらそれのお礼ということだったらしい。確かに美味しいもの食べに行こうねって約束した気がする。朝泣いてたのが嘘のようにはしゃいでしまった。
職場の人はこないだ急に結婚して(ずっと冗談だと思って信じてなかった)、もうすぐ子供も生まれるらしい。三人でドライブしながら子供の名前の案を出し合った。

 

 

20200213

どういう心境だったのかあんまり覚えていない。
面接の予定がひとつ決まったらしい。

 

 

20200214

久しぶりにちゃんと仕事をした。面接の日以降話していなかった同僚ともようやく話した。
普通に仕事の話ならできる。話すの久しぶりだねという言葉にはうまく反応できず笑って誤魔化してしまったけど。落ちた人間としてではなく、この仕事を担当している人間としてなら人前に立ってもなんとか耐えられるらしい。
仕事自体は楽しくやれたと思うし、思ったより普通に、いままで通り人と話すことができた。

その分、結局誰のことも嫌いになれないし、この結果を自分ひとりで引き受けなきゃいけないんだなとも思った。誰のせいにもできない。ただ自分が至らなかっただけだったんだってことをちゃんと引き受けなきゃいけない。

休憩時間にたばこを吸いに外に出たら、雨が春の匂いになっていた。
いつのまにコートのいらない気候になったんだろうと思って、それからふつふつと怒りが湧き上がってきた。
知らない間に春になったりしないでほしい。全然気持ちが追いつかない。

 

夢のなかで夢を見ている

 

20200201

縁側に置いた水とごはんを見に行く。キャットフードにちょっとだけ口を付けたらしい跡が残っていた。水の器にも土埃とキャットフードが浮いていた。食べたり飲んだりするのが下手な猫なのかもしれない。夜中にこっそり戻ってきて、口の周りをびしゃびしゃにしている猫のことを想像した。
水を新しいものに替えた。しばらく様子を見ることにする。天気が良い。

スーパーにささみを買いに行く。
ちょうど職場の退勤時間とかぶってしまい、レジに職場の人がいるのを見つけて思わず隠れてしまった。しばらく自分の席で仕事をしていないので、ひさしぶりとか休んで何してるのとか聞かれるだろうなと思う。怖い。普通の質問にちゃんと答えられないことが怖い。
生姜湯のコーナーでしばらくじっとしていた。絶対に誰も来なさそうだから。なぜか生姜湯の隣にフルーチェが並べられていて、最近は抹茶のフルーチェとかもあるんだなあと思った。

 

20200202

昨日の夜供えたささみが消えていた。水には口を付けなかったらしい。初日水しか飲まなかった猫が、ささみだけ食べていくことってあるんでしょうか? 別の猫かもしれない…と思うけど、ささみを完食するくらい元気になってきたんなら嬉しい。
キャットフードは余っても捨てるしかないけど、ささみならわたしも食べられる。余りのささみの半分はわたしが食べて、もう半分をまた縁側に置いた。限界の者どうし、できることは助け合って生きていきたい。引き続き天気が良い。

ケーキをホール食いしたら元気が出るかもしれないと思い立って、ケーキを買いに行く。悩みに悩んで、いろんなブランドのいちごが乗ったケーキを購入。いちごの味の違いはわからなかったけど、とにかく生クリームとスポンジを大量に食べたら満足した。思っていたほど元気にはならなかった。どうせなら先輩と一緒に食べれば良かった。

夜、戸締りをしているはずの扉がバンバン鳴りだして、あまりの緊張に足がガクガクに震えてしまった。明日帰ってくる予定だった先輩がはやく帰ってきただけだった。こないだの窓を叩かれた日以来、不審者が家に侵入してくる妄想の輪郭がくっきりしすぎてしまって、些細な物音にビビりすぎてしまう。あと、今日読んだ「青野くんに触りたいから死にたい」が予想以上に怖すぎたせいかもしれません。

 

20200203

先輩と一日中こたつでダラダラしていた。それぞれ借りてきた漫画を読んだり、先輩がゲームしてるのを観戦したり、映画を観たりなど。

とある映画を観たのですが、ミステリーとしてのフリがあったからそのつもりで観ていたら、展開が二転三転して、結局恋愛に着地したので怒り狂ってしまった。わたしは失恋したおじさんが自己憐憫に浸る様子がかなり嫌い。
他の人の感想を漁ってみたけど、映画(に限らずだけど)の考察=ストーリーの謎解きだという認識の人が多い気がした。あなたがその作品をどう受け止めたのかを聞きたいのにと思う。辻褄が合うかどうかがストーリーの全てではないし、伏線が張られていることと伏線の張られ方が美しいかどうかは別問題だし、映画はストーリーだけでできていないはずだ。
それにしても良くなかった映画に言及するのって悪魔的に楽しい。何がどう良くなかったのかを言語化しようとするときほど、自分の語彙が生かされる瞬間はないと思う。

 

20200204

先輩と川へ行く。パン屋で好きなだけ甘いパンを買って、テントと椅子を積んで川に行く。
川原で水鳥を見たり、お湯を沸かしてコーンスープを飲んだり、漫画を読んだり、冷凍の小籠包を蒸して食べたりした。
コートを着たまましばらくテントのなかで眠ってみたりもした。目を開けたらすぐ大きい川が見えると思うと安心する。実際には見えていなくても。夢のなかで夢を見ているときと似た感覚だなと思う。目が覚めてもまだ非現実的な景色が広がっていると想像すると、とても穏やかな気持ちになれる。
コガモの群れ、ダイサギカイツブリを見た。

日が落ちてから喫茶店に移動して、閉店時間までブログの記事を書く。好きだった2ちゃんのスレについて。
無職になることが決まってからずっと混乱していた気持ちをなんとかしなければと思っていて、いろいろ考えたり試したりした結果、あの文章が出てきた。ようやく正しいボタンをかけることができたような気がする。いまの状況を解決するものでは全くないんだけど、いましか書けないものが出てきた気がする。

 

20200205

ささみを外に置きっぱなしにするのはやめることにした。本当にあの猫なのか確かめる方法がないし、餌付けしたところでその先の未来が全く見えないから。
できることをしてあげたいけど、正しい方法がわからない。仕事も貯金もない人間にできることはあんまり無いってこういうことなんだなと思う。
あの猫がまた目の前に現れたら、その時にまたできることをしよう。

昨日書いたブログが予想以上に多くの人に読まれていて嬉しい。でもこれはわたしの力ではないなと思うので悔しい気持ち。題材にしたスレの内容が良かったからだなと思う。そこに救われる人がいたら嬉しいけど、自分の文章の良さで勝負できるようになりたい。

 

20200206

あんまり人の来ない部屋で作業していたら、職場の人が「大丈夫?」と話しかけに来てくれた。
元気? きっと良いところが見つかるよ、大丈夫だって、海外行くのも良いんじゃない? これからどんなことしたいの?など、普通の質問に何ひとつまとも答えることができず、笑って誤魔化して会話を終わらせた。その人を見送って扉を閉めた途端涙が止まらなくなった。号泣しながら自転車を漕いで帰った。

心配されたり、きっと大丈夫だよって励まされたりしても、でもあなたたちはわたしを選ばなかったと思ってしまう。そんなことで落ち込んでても意味が無い。はやく前向きな気持ちに切り替えて、次の仕事を探した方がよっぽど生産的だと思う。でもこういう些細なことでものすごく落ちてしまって、そこからニュートラルな状態に這い上がるだけでものすごい気力と時間を使ってしまう。

帰宅後、コートを着たままこたつでうとうとする。架空のブログの「お前はそんなんだからダメなんだ」みたいなテキストを読んで、悔し泣きしながら暴れた。夢だって理解するまでにしばらく時間がかかった。

 

20200207

ついに先輩にまで当たり散らしてしまった。
自分で立ち上げた仕事にもやる気がわかないという話をしていたのだけど、「でも楽しみにしているお客さんのこと考えたら意味はあると思う」みたいなことを言われて、思わず「そんなのわかってるよ、わかってるけどできないから困ってるんじゃん」とキレてしまった。
正直、お客さんのことなんか何も考えていなかった。図星を突かれたからキレたのかもしれないし、その言葉の先に「お客さんのためなら、自分のことを考えるより仕事を優先すべきだ」という言葉が続くんだと思ったらなんか急に耐えられなくなってしまった。

そのまま浴室に逃げ込んで泣きながら服を脱いで風呂に入ったのだけど、わたしはなんで怒りながら風呂に入ってんだ?と思ったら冷静になった。行動があまりにもバカすぎる。でももう先輩は出て行ってしまったあとだった。

お客さんのことを想像したら意義があると思えるだろうっていうのは正しい。本当はそうあるべきだと思う。
でもこの仕事をやるって決めたとき、これで評価されればポストを用意してもらえるかもしれないという期待がかなりあったから、急に梯子を外されたような気がしている。ずっと拗ねている気持ちがあるんだと思う。馬鹿すぎる。気持ちを整理する時間が欲しいけど、大人になるって甘える時間が用意されないってことなんだなと思う。

湯船に浸かりながら、母から祖母の葬儀についての連絡を受ける。葬儀に参加するには明日の早朝に出発しないと間に合わないらしい。すぐに飛行機を予約して、先輩にさっきはごめんと連絡した。祖母が亡くなったので有給を取らせてください。

喪服がない。40分の乗り換えの間に買えるかどうか、駅から洋服の青山までの距離を検索してみる。

 

パチンコ屋の屋上に登る

 

20200125

なんとか出勤。昼過ぎ、全スタッフ向けに業務連絡メールが来た。来年度の仕事についての文面に、わたしの名前がなくて、同僚の名前があった。特に選考の結果を知らせるものでもなかった。単純に来年の仕事にわたしの名前が無いっていうだけだった。このメールでみんな間接的にわたしが落ちて同僚が受かったことがわかるんだなと思ったら耐えられなくなって、こっそりトイレに行ってしばらく呆然とした。わたしのいままでの仕事って、こうやって終わっていくものだったのか。

全員が結果を知っていると思うともう誰も彼もが怖くなってしまって、たばこを吸いに外に出たらもう戻れなくなった。先輩に荷物を取ってきてもらってドライブに出た。どこに行きたいって聞かれたから遠いコンビニって言った。そんで遠いコンビニ行ってココア買ってもらってそのまま帰った。

 


20200126

出勤して、誰も来ない部屋でじっとしていた。もしも誰かに会って、あれって落ちたってこと?大丈夫?次どうするの?これから何をやりたいの?など聞かれても、何も言えないと思う。足音が近づいてくるだけでめちゃくちゃに緊張してしまう。二ヶ月後の職も住むところも決まっていないのに、こんなところで緊張している場合じゃないと思う。

帰り、先輩とパチンコ屋の屋上に登る。裏の小さな川を見下ろした。暗くて静か。田舎なので明かりが少ない。パチンコ屋より高い建物が全然無い。

たばこを吸いながら先輩が「おれサゲチンかも…」と言うので笑ってしまった。理由は一緒に住んでいた人たちが次々就職難に追い込まれるかららしい。それは先輩のせいというより、もともと低賃金の人があの家に集まってただけだと思う。むしろ、もうだめだと思っている人間もそうじゃない人間も、あの家には居ても良いから、わたしたちはすごく助けられてきたと思う。

いつだったか、友達が内定辞退の連絡をしたあと、折り返しの連絡を迎え撃つために一日うちで一緒に待っていたことがあった。研修でひどいパワハラを受けたから、折り返しの電話もろくでもないだろうことは簡単に予想できた。そんなのを一人で受け止めるのは間違っている。電話がかかってきたら、家に誰かが置いていったでかいスピーカーに繋いで爆音で怒鳴ってもらって、わたしの携帯で録音するつもりだった。わたしの友達はすごく優しい人で、けして知らんおじさんに怒鳴られたりペットボトルを投げつけられたりしていいはずがないのだ。

結局電話はなかなかかかってこなくて、友達に白身魚を蒸してベシャメルソースをかけた料理(わたしは彼女が作ってくれるそれが大好き)を作ってもらったりして、そしたら当時の恋人が大量の殻付きの牡蠣とナマコを持って家に来て、牡蠣はいいけどナマコってどうしたらいいんだよと迷ってたらふらっと遊びに来た友達(この子も会社を辞めて何しているのかよくわからなかった)が「あたし切れるよ〜」と言って迷いもなくナマコを叩き切ってくれた。そのときの動画がまだ残っている。動いている銀色のナマコを友達が真っ二つに切る動画。出来上がった白身魚の料理と、牡蠣と、ナマコの叩きがあるよと連絡したら、意外とたくさん人が遊びに来て、夜中までパーティーになった。誰かが家の軒先で牡蠣を焼いたものだから、家中煙たくて海の匂いになった。

先輩はわたしがいなくなったらあの家を畳むらしい。

 

 

20200127

もともとOFFの日なのですこし気が楽。

たばこ部屋での先輩との会話を録音した。この家を出たあと、さみしくなったら聞こうと思って。
わたしたちの家は、いまは二人しか住んでいないけど、本当は四人分くらいの部屋がある。昔は三人とか四人で住んでいた。ここしばらくはわたしと先輩だけなので、たばこを吸ったり音楽を聴いたりするためだけに余った部屋を使っている。すごく贅沢だと思う。
たばこ部屋にはせいぜい10分しか滞在しないので、録音するにはちょうどいい。
一緒に見たドラマの感想を言い合ったり、猫の交尾の動画を見たり、わたしが笑いすぎておならをしたりしている会話が録れた。
春からどこに誰と(もしかしたら一人で)暮らすかわからないけど、こうやってだらだらと喋ったりする関係をまた誰かと築けるのか自信がない。この先、ひとりで話し相手がいないと感じるときに、自分にはこうやって話せる人がいたってことを思い出せるように残しておこうと思う。

 

20200128

先輩と隣町まで「パラサイト」を観に行く。

昼ごはんに気に入っているタイ料理屋でテイクアウトをして、公園で食べた。パッタイとガパオライスとトムヤムクン

映画を観た後、どっと疲れてしまった。とりあえず車を走らせながら「せっかく隣町まで来たからどこかに寄りたいけど、正直に言うといますぐ目の前に家のこたつが出現してほしい」と言ったら、先輩が「なんで俺の考えてることわかったの…」とちょっと盛り上がった。
パラサイト、面白かったけどすごい疲れてしまった。わたしは緊迫した場面でヘマをするというシーンが嫌いなので、主人公にイライラしてしまいました。愚かなことをするな。石をしっかり持て。妹が蓋をした便器に座って湿気ったタバコを吸うシーンが素晴らしかった。

先輩が髪を切りに行っている間、ひとりでコーヒーを飲んで待つ。帰ってきたら坊主頭みたいに短く切られていたので笑ってしまった。見せた写真と全然違う髪型にされてしまったらしい。「途中から最初の写真も見せてくれなくなった…」と言って落ち込んでいた。眼鏡を変えたら印象変わるんじゃない?とか試してみる。帰ったらわたしの使っていないニット帽をあげる約束をする。

帰りに大きい虹を見た。

 


20200129

なんとか出勤したけど、一時間もせずに無理になってしまい帰宅。台所の床でカップ焼きそばを食べた。平日昼の台所ってこんなに明るくて静かだったんだなと思う。

職場で特に何かあったわけではないのですが、先日のメールで職場中の人がわたしが落ちたことを察しているんだと思うと、足音が近づいてくるだけでものすごく緊張してしまう。疲れる。誰かが「大丈夫〜?」とか言いながら部屋に入ってきてもう逃げられない、という場面を何度も想像してしまう。職場で泣き出してしまうことによって、体面上だけでも「みんなに見送られて前向きに出て行く人」を保ちたいのに、「選ばれなかったことに感情的になりながら去る人」に落ちてしまうことが怖い。

夜、台所でごはんを作ろうとしていたら目の前のくもり窓がドンドン!!と叩かれて身体が固まってしまった。思わず包丁を取り出そうとしたけど身体がうまく動かなかった。結局「びっくりした〜?」と言いながら先輩が帰ってきただけだった。
なんかその行動に対して無性に怒りが収まらず、あからさまにイライラした態度をとってしまい、でも先輩にはわたしの仕事を押し付けているんだしと我慢していたのだけど、先輩が機嫌を取ろうとしてクオリティの低い宝島のMVのモノマネを見せてきたりして、うまく笑えなくてそのまま泣いてしまった。

包丁を取り出そうとしたのは、不審者が勝手に家に入ってきちゃったのかもしれないと思ったからだ。そんなことを思う自分にもびっくりした。でもそれがただのいたずらで、それで人を笑わせようとするのが意味わからなくて、結局ものすごい怒りに変換されてしまった。
別に「なーんだ不審者かと思った」で済ませればいいのかもしれないけど、わたしはうまくできない。人を驚かせるとか、騙して隠し撮りして笑いものにする番組とかありますが、わたしはああいうものを絶対に許さないからな。

 

 

20200130

数年前に一緒に働いていて、似たような境遇で職場を去った子に落ちたことを報告した。諸々の状況を伝えて弱音を吐いたら、「信じられない、文句言ってやりたい」と怒ってくれた。そうやって怒ってもいいことなんだと思ってちょっと楽になった。
こうやって他人に怒ってもらうのはずるいのかもしれない。でもいまわたしの周りには、受かった同僚と、それをジャッジした人しかいないから、関係ないけど事情を知っている人に話を聞いてもらえてすこし気持ちが楽になった。自分の扱われ方ってどう感じるのが正解かわからないから、他人に辛いって感じてもいいんだって認めてもらってはじめて、そう感じる権利が発生するような気がする。

 


20200131

真っ暗ななか玄関の扉を開けようとしたら、スニーカーか何かがつっかえて開かない。なんだろうと思って目を凝らしたら、スニーカーがよたよた歩き出した。スニーカーじゃなくて猫だった。
数日前に足を引きずっている茶トラの猫を見た。たぶんその猫だ。猫はよろよろと縁側の方へ歩いて行った。壁や車に寄りかからないとうまく歩けないようだった。悪いことをしてしまった。
とりあえず買ってきたものを台所に置いてから縁側に降りてみる。猫は軒下に潜り込むところだった。スマホのライトを点けて覗き込んでも、猫は警戒する様子もなく力の抜けた目で見つめ返してくる。人慣れしているわけじゃなく、逃げる元気が無いだけかもしれない。

コンビニに走って猫用のウェットフードを一食ぶん買った。コンビニのどこに猫のごはんが売っているのかわからなくて、ものすごい勢いで店内を4周してしまった。
ウェットフードと水を軒下に持って行った。「ネコチャーン」と声をかけながら皿を置くと、猫は皿を見ながら身を起こした。

動物病院に電話。まず捕獲できるなら病院に連れてくるっていう選択肢もある、そこから治療をする場合はこちらもボランティアではないので治療費がかかる。いくらになるかは診療しないとわからない、骨折していたり交通事故によって内臓などに損傷がある場合には手術になるし、数万から数十万円かかることもある、連れてきてからあなたが治療するかしないかを選ぶことになる。と言われる。
治療するかしないかを選択することに、自分が耐えられるのかわからない。

猫を見に行くと軒下から出て水を飲んでいた。近づいて写真を撮っても、顔も上げずにひたすら水を飲んでいる。わたしはこの生き物がいま必要としているものを与えることができたのかもしれないと思う。左脚の先を怪我しているようだった。怪我したばかりでも無さそうだけど、赤茶っぽい色に変色して、すこし萎んでいるようにも見える。

寝る前にもう着ないニットのカーディガンを持って様子を見に行ったら、もう猫はいなかった。何度も見に行ったのがよくなかったのかな。水は飲んでいたけどウェットフードには口をつけなかったようだった。
ダンボール箱を組み立て直して、なかにカーディガンを広げて詰めた。足が悪くても入れるように一辺だけ上蓋を切り取った。

「野良猫 怪我」などで検索したら、最後まで責任を取れないのなら助けるなという記事も多くあった。確かに、次の職も決まっていなくて数ヶ月後には引っ越すはずだけどそのための貯金も怪しい人間がこんなことをしている場合ではないのかもしれない。
ダンボール箱をごはんの近くに置いてから寝た。

 

いまここに自分の心があることに耐えられない

 

20200118

面接に何を着ていったらいいかわからなくなり、「オフィスカジュアル」で検索して洋服の青山のページを眺める。

 

 

20200119

「何をしたらいいかわからない」が続く。

わたしと、わたしと殺し合いをする同僚と、面接官をやる人と、いなくなる人の仕事を引き継いで過労死するだろう人とでミーティング。地獄ってこのことか。

 

 

20200120

わたしは面接に限らず親しくない他人と話すとき、よく「わたしは間違っている、あなたは正しい」という方向に話を持っていってしまう。なのに相手がそれに乗ってアドバイスなどをし始めるとは?お前に聞いてないが?とか思ってしまう。
ってことを書き出して気付いたけど、わたしはネガティブなことを言って「そんなことないよ」って言ってほしいだけなんだと思う。
自己肯定のために他人を使っているのって最悪だ。他人との信頼関係を築く手前でそうやって試すのも本当に良くないと思う。
わたしは自分で自分のことを認めなければいけない。自分で自分のことを正しいと思いたい。多分面接くらいで緊張しない人は、そもそも自分を肯定できているから大丈夫なんだと思う。わたしが過度に面接を怖がるのは、自分の評価を他人に全振りしているからかもしれない。

いまここに自分の心があることに耐えられない。

 

 

20200121

新しいコートをおろした。

友達と電話。面接の準備に足りない部分がたくさんあることに気がついて不安になる。
これまでやってきたことを事実として伝えることはできるけど、これからこういうことをやりたいですとかこういうことが好きですみたいなことが言えない。そもそも言える人はどうして言えるのかわからない。面接の足りなさを自分の人間性の足りなさのように思ってしまう。

夜、先輩が「そういえば俺も面接出ることになったよ〜」と言い出して、嫌すぎて泣いてしまった。
ずっと一緒に働いて一緒に暮らしてきて、身近な人のなかで唯一わたしをジャッジしない人間だったはずなのに、そういう人が急にジャッジする側にまわってしまったことがショックだった。
直前に友達と電話したことで不安が増しており、そのことについて先輩と話しながら整理しようと思っていて、でも面接官になるならこれ以上相談とかできないし、元気でやる気のあるところを見せなければ、でもどうしたらいいのかわからない、不安だ、でも不安だとか言ったら減点される、どうしよう、という気持ちが限界に達して泣いた。最悪だった。

 


20200122

良い問いと悪い問いのことを考えた。
面接のために「これから自分は何をしたいのか」とか考える。でもついつい「自分の好きなことを他人に話せないのはなぜか」とか「何が怖いのか」とか、面接自体には関係のない、内向的な問いばかり立ててしまう。
考えの方向性は問いによって決まるから、泥沼みたいに答えの出ないことばかり考えてしまうのは、問いが悪いんだろうなと思う。
わかっているけど、「どうして自分が悪いのか」を考えているときって他人に向き合わなくていい楽さがあるし、自分のことを考え続けるのは気持ちいいのでやめられない。「自分が悪い」っていう結論は変わらないのに。
自分が自分じゃなかったとしたら、どんな問いを立てさせるのがいいんだろう。

面接を終えた。

 

 

20200123

どうせ仕事が手につかないだろうと思って仕事を休んだ。
つめを全部違う色で塗った。

夕方、面接の結果が来ていることをメールの通知で確認する。どうしても開ける勇気が出なくてしばらく家の中をうろうろ歩き回った。
大学受験のときも、結果を見るのが怖くてしょうがなくて、職員室で泣き出した前科がある。いろんな先生が慰めに来てくれたけど、まだ結果も見ていないと知って呆れていた。
結果を見た瞬間にそのあとの人生の軌道が決まってしまって、その振り幅があまりに大きいことに耐えられない。それを誰のせいにもできず、自分ひとりで受け止めなくちゃいけないことを想像するだけで心臓が痛くなってしまう。どうせもう結果は決まっているんですけど。

意を決してメールを開けた。「ご期待に添えない結果となりましたので」以降の文章を忘れたけど、落ちているのを確認して、たばこを吸った。

 

 

2020124
昨日の夜、先輩が帰ってきてからしばらく結果の話ができず、いつも通りにふるまってお風呂に入り、晩ごはんを一緒に食べた。ごはんを食べ終えたあたりで、先輩が「結果見た?」と聞いてきたので、見たと答えた。どうせ先輩は面接の日には結果を知っていたんだから、何なんだろうと思った。受かったのがもう一人の同僚であることを聞いた。
結果を見る前は、いままで一緒に働いてきた同僚だけが受かって、わたしだけが落ちる場合、どういう気持ちになるかわからないと思っていた。どっちかというとそれを認められないだろうなと思ってた。でも純粋に良かったなと思えたので、良かったなと思えたことに安心した。彼女には良いところがたくさんあるし、夜の仕事までして生活している人間は報われるべきだと思う。
なぜわたしが選ばれなくて彼女が選ばれたのかという話を聞く。先輩の話を聞く限り、面接での印象が大きいように聞こえて、わたしがいままでがんばってきた仕事とかって何だったんだろうと思った。というかそもそもそんな話は聞きたくなかった。先輩は喋ったあとで、これは自分の罪悪感を拭うために話したのかもしれない、最悪、と言って後悔していた。わたしが落ちなければこんなことにはならなかった。
結果を見てからずっとぼんやりしていて他人事みたいに思っていたけど、「人と話すのとかアイデアを出すのとかが苦手っていうコンプレックスからこの仕事を選んで、そのことを隠して騙し騙しやってきたけど、やっぱりそれじゃダメだったってことだと思う。そういうコンプレックスを認めなきゃいけないと思う」って自分で言葉にした途端にボワボワ泣いてしまった。

朝、普通に出勤するのは絶対に無理だと思って休んでしまった。わたしを選ばなかった人たちや、選ばれた人と一緒に仕事をするの、今は無理だと思う。選ばれなかった人間が職場で泣き始めるのって最悪だし。

なんとか出勤させようとしていた先輩が、諦めてひとりで出勤していったけど昼に帰ってきて、体育座りして泣いているわたしをそのまま持ち上げて無理やり車に乗せ、一緒にマックのドライブスルーに行った。靴も履かないで寝間着でグチャグチャのまま食べるビックマックって美味しい。わたしのことをジャッジする側に回った先輩とはもう友達でいられなくなるなと思ってたけど、そんなことも無かった。物理的に笑うとちょっとだけ気持ちが楽になる。

 

なんとか生きとる ここにいる

 

f:id:osechip:20200205131518j:plain

200字の志望動機が書けないという理由で一週間風呂に入れず、体にカビが咲いたことがある。カビと言っても緑のふわふわが生えてくるわけじゃなくて、気がついたらお腹や足の付け根、肘の内側などに赤く細かな湿疹がびっしりと出来ていた。皮膚に咲くカビは洗っても落ちない。病院で患部に塗る軟膏と飲み薬をもらった。遠回しに風呂に入っていないことが原因だと言われた。

確かに風呂には入っていなかった。当時のわたしは夏までの就活にことごとく失敗し、実家に引きこもっていた。さらに失敗したことを人に言えず、全ての連絡を無視していた。心配してくれた人から「大丈夫?」みたいな連絡をもらったりもしていたけど、どうしても返せなかった。「大丈夫?」って聞かれたら「大丈夫」って答えなきゃいけない気がする。全然大丈夫じゃないのに。大丈夫じゃないって返せばよかったのかもしれないけど、当時は自分が大丈夫じゃないことを認められなかった。返事を保留にしている間は、「大丈夫」と「大丈夫じゃない」のはざまに立っていることができる。

体にカビが生えたのは、本格的に他人がわたしの状態を気にし始める前にどうにかしようと新しい求人に手をつけた頃だった。200字の志望動機を書くだけなのに二、三週間かかった。
毎日朝6時ごろには起きて、出勤する両親の邪魔にならないうちに台所と洗面台を使う。自室で風呂に入る気力が溜まるのをひたすら待つ。昼過ぎごろに、これから風呂に入っても今日の残りの時間で集中できないだろうなと思い始める。ギトギトの頭で机に向かう。PCを開くと一気にすべての思考が重たくなる。こんなことをして何の意味があるんだろう、でもしんどいだけで諦めるような人間だと思われたくない、志望動機がどうしても考えられない、いままでどこにも認められなかった自分からひねり出されるものなんか全部間違っていると思う。その全部がしんどいので、とりあえずマインスイーパを開く。一心不乱に地雷を取り除く。気がつくと五時間が経過している。今日何もしていない人間は今から風呂に入っている場合ではなく、夜を徹して書類を仕上げるべきだと思う。また風呂に入らないまま深夜まで机に向かう。でも一文字も書けない。どんどん思考が濁り、こんな状態で書いてもどうしようもないから眠ろうと思う。眠って、明日の朝、すべてをちゃんとしよう。

という毎日を送っていたら体にカビが生えた。あとマインスイーパがめちゃくちゃ早くなった。応募書類はなんとか期日ギリギリに提出したと思う。当然お祈りメールが返ってきた。

これは自分がこれだけ辛かった、かわいそうだったということを書きたいわけのではないので、この時わたしの気持ちに寄り添ったものについて書いておこうと思います。

この時期、夜中によく2ちゃんのメンタルヘルス板を見ていた(5ちゃんがまだ2ちゃんだった頃)。

きっかけは、体にカビが生えてから「風呂 入れない」などで検索して、メンタルヘルス板の「風呂に入れない人集合【49夜】」みたいなスレにたどり着いたことだったと思う。スレでは元気のない人間たちが今日も風呂に入れなかったことを報告しあい、たまに風呂に入れた人を祝福していた。ここにいる人間はみんな風呂に入れないので、風呂に入れ!とか説教してくるやつはいない。何年も風呂に入っていない猛者もいた。世の中にはこんなに風呂に入っていない人間がいるのか!と思うとちょっと心が楽になる。ここで「風呂に入ったことを後悔する人間はいない」という名言も学んだ。

メンタルヘルス板は基本的に死にたいとかつらいとか、そういう感情を吐き出すためのスレが多い。
でもわたしが一番好きだったのは「【ぼくは】(`・ω・´)生きとる!【ここにいる】」ってスレだった。
めちゃくちゃ過疎スレだった。自分が生存していることを報告し合うだけで、「(`・ω・´)生きとる!」という宣言が1日に2,3レス書き込まれるだけ。会話もほとんどない。

このスレを読んでるといまでもダラダラ泣いてしまう、なんでかうまく言えないけど。

「生きとる」って言葉は、本当にただそこにいるだけってかんじがする。生存していることを肯定も否定もしないかんじ。「生きてる」とか「生きたい」だとニュアンスが変わってしまう。
「大丈夫」と「大丈夫じゃない」の二択を迫られていた当時の自分にとって、ただ「生きとる」だけの他人の気配は救いだった。

メンタルヘルス板のスレなんだからみんなしんどいのはわかってる。でもここではひとりであることとかつらいことをとりあえずそのままにして、ただ宣言していく。しんどい気持ちでいることを誰も責めない。しんどい気持ちをとにかく「生きとる」に変換していく。
誰かが「生きとる」って宣言する瞬間のことを、なんて言えばいいのかわからないけど、すごいことだと思う。

好きなレスを抜き出して載せます。
もう過去スレに入っているけどここ(http://krsw.5ch.net/test/read.cgi/mental/1394625923?v=pc)から読めます。

 

【ぼくは】(`・ω・´)生きとる!7【ここにいる】

1優しい名無しさん2014/03/12(水) 21:05:23.82id:EshFn+jF
(´・ω・`)みんな、生きとるか…?

(`・ω・´)僕は生きとる!

☆あなたの生存を表明するスレです

・ (`・ω・´)生きとる! と宣言しましょう
・出来るだけ毎日宣言しましょう
・ネガは極力避けませう


9優しい名無しさん2014/03/18(火) 23:07:44.69id:owrMZyMq
(`・ω・´)生きとる


12優しい名無しさん2014/03/20(木) 07:51:50.51id:nmqR0aKQ
へろへろだけど
なんとか( ・ω・ )生きとる


14優しい名無しさん2014/03/21(金) 13:22:21.11ID:3GfQ1pqX
( ・ω・ ) 祝日の午後、春分の日も生きとる。


15優しい名無しさん2014/03/23(日) 01:17:24.44ID:IS+4i97B
(´・ω・`)歯がいたたた
(´・ω・`)生きとる


19優しい名無しさん2014/03/25(火) 07:55:39.25id:MZytf8uc
(´・ω・`)生きとるんよね


31優しい名無しさん2014/03/30(日) 10:46:39.97id:HgWCM2x5
( ・ω・)生きとるねん


32優しい名無しさん2014/03/31(月) 10:49:21.44id:yQe7CPKB
今朝は桜が咲いてた( ・ω・ )生きとる


42優しい名無しさん2014/04/05(土) 20:57:10.93id:GzSdapBg
ちくしょー。
悔しいけど生きとる。(`・ω・´)


46優しい名無しさん2014/04/07(月) 07:36:25.23id:sTw+QkQs
うん(`・ω・´)生きとる


61優しい名無しさん2014/04/15(火) 12:15:44.90ID:+kSf/1AN
( ・ω・)今日も生きとる。そして明日も。


62優しい名無しさん2014/04/16(水) 12:00:47.89ID:R/NmB8uf
生きとる(´・ω・`)理由は特にない


83優しい名無しさん2014/05/08(木) 06:30:01.76id:myD7PkUD
なんだかんだ(´・ω・`)生きとる


84優しい名無しさん2014/05/10(土) 21:09:06.31id:xGpAP+DX
(´・ω・`) そんでもって生きとる。


109優しい名無しさん2014/06/04(水) 15:25:28.13id:o1236i3j
( ・ω・ ) とりあえず生きとる。


123優しい名無しさん2014/06/19(木) 15:57:04.53id:GIkT5WH2
( ・ω・ ) まだ生きとる。


134優しい名無しさん2014/07/06(日) 19:04:59.09ID:0DrCb5Ac
何故か(`・ω・´)生きとる


151優しい名無しさん2014/08/06(水) 10:28:13.09id:e6bvzUsK
( ^ω^ )今日も生きとる。ここにいる。


172優しい名無しさん2014/08/18(月) 16:00:53.50ID:28rDh9GK
今日も生きとる。ここにいる。
明日も生きとる明後日も。


248優しい名無しさん2014/11/30(日) 20:58:57.55id:CFzb3d0P
生きとる!生きとるんや(´;ω;`)


289優しい名無しさん2015/02/19(木) 23:00:41.08ID:1UA43Eq7
( ・ω・ ) 私がここに書き込んでいるということはまだ生きとるということだ!


297優しい名無しさん2015/03/04(水) 00:28:57.33id:h3WINHPZ>>300
迷惑かけながらまだ生きとる!(´;ω;`)


300優しい名無しさん2015/03/07(土) 17:26:13.05id:A8vCX5bY
>>297
生きてる限りみんな迷惑かけてるもんだよ

(`・ω・´)生きとる!!


317優しい名無しさん2015/03/29(日) 13:16:24.88id:go9XcWJJ
なんとか生きとる
ここにいる
!!
お昼はチーズを食べました。
夜は昨日の残りの煮たお肉を食べたいです。


378優しい名無しさん2015/08/05(水) 10:47:24.25id:ddHpDCrg
情けない毎日だけど生きとる(`・ω・´)


391優しい名無しさん2015/12/08(火) 02:20:51.84id:ElrwcpEO
今日も、何も出来なかった。
でも生きとる。


404優しい名無しさん2016/01/12(火) 02:48:54.90id:lPM25PgI
生きとる(`・ω・´)
誰も気付いてくれないけど生きとる!


408優しい名無しさん2016/01/23(土) 06:31:16.17ID:5u6Rwcz9
生きとる! (`・ω・´)
ここに書く!こんなでも生きとる! (`・ω・´)


416優しい名無しさん2016/02/24(水) 04:30:57.43ID:y+UUj4sq
(`・ω・´)生きとる!
つらいことや苦しいことばかり、本当に生きとるだけだけど(`・ω・´) 生きとる!


469優しい名無しさん2016/05/09(月) 19:25:08.14id:VYOU4P7p
(`・ω・´)自分の好きだったものがどんどん過去になって行くけど、生きとる。


477優しい名無しさん2016/05/10(火) 17:29:34.47id:CcIAyyok
ひとりぼっちだけど生きとる!(`・ω・´)


570優しい名無しさん2016/05/24(火) 13:42:58.81id:AAKPozh+
ここにいた!


579優しい名無しさん2016/05/25(水) 17:42:28.04id:N5cxByh6
(`・ω・´)なんだかんだいって いきとる


588優しい名無しさん2016/05/27(金) 09:23:12.80id:jZHkKOp5
( ´・ω・`) 起きた。これすなわち生きてる!


598優しい名無しさん2016/05/29(日) 17:38:55.42id:j2aemDv6
( `・ω・´)生きとるってなんだ~ろ♪生きとるってなぁに~♪


635優しい名無しさん2016/06/06(月) 17:27:15.08id:u05wx7b1
(`・ω・´)生きとるんだ


758優しい名無しさん2016/07/05(火) 01:03:25.84id:PhLQyzSy
ここ見て気付いた
わたしも(`・ω・´)生きとる


797優しい名無しさん2016/07/12(火) 22:17:06.51id:SQh9k3il
(`・ω・´)なにもしてない1日だったけど、生きとる


828優しい名無しさん2016/07/22(金) 22:14:24.91id:szj8rgpu
(`・ω・´)生きとる!
今日は、6分の1カットスイカを食べました。結構でかかった。


844優しい名無しさん2016/07/28(木) 21:24:19.24id:mZZLZ4j1
(`・ω・´)生きとる!
みんな~生きとるか~?ちゃんと、おる?


845優しい名無しさん2016/07/28(木) 21:28:39.83id:DL4//5F3
(`・ω・´)おるでー!生きとるよ。

 


久しぶりにメンタルヘルス板を見に行ったら、このスレは数年前に途絶えてしまっていた(過疎スレが落ちやすい仕様に変わったらしい)。
ここにいた人たちがあのあとも生きとるかわからないけど、生きとったよねえと思う。

 

自分の人生が本当に自分の人生だとして

 

20200115

 

自分の人生が本当に自分の人生だとして、この先何をしたいのか考えた。
わたしは本当は犬と暮らしたい。人間以外の生き物と言語以外でコミュニケーションをとりたい。帰ってきただけで喜んでくれる生き物に肯定されたい。犬が発見する、わたしが見たことのないものすべてに感動したい。
こんな不規則な仕事ばかりしていたらでかい犬は飼えないだろうな。このボロい一軒家でも飼えない気がする…アパートよりはいいのかな? 元気な犬を飼ったら一瞬で家が崩壊しそうだ。
めくるめく犬との生活について考えていたら遅刻した。

なんかヤバいデザインの葉書がきてる、と思ったら、母校の総会(?)の案内だった。
〇〇大学〇〇県総会とか、〇〇ブロック担当とか、そういうのってどの大学でもあるものなんでしょうか?
以前たまたま仕事先で同窓のおじさんに会い(名前も忘れた)この県にいる母校出身者で集まる会などがあるから来なさいよ、みたいなことを言われた気がする。
参加費一万円も馬鹿馬鹿しいし、愛校心なんか一ミリも感じたことがないので、行くかバーカと思ったのですが、欠席の連絡をするために自分の連絡先を書いて葉書を返送しなくてはいけないらしい。自分の連絡先を知らないおじさんに渡すのすごく嫌だな…。
職場のNさんに葉書を見せたら、「え!いいな!美大の人間なんて卒業したら小さい粒になって風に乗ってどっか行くだけなんですよ!」と言ってなぜか喜んでいた。

 

 

20200116

 

後輩から「限界なのでしばらく休ませてください」という長文メッセージを受け取る。
限界で家から出られなくなってしまった人に何をどう言ったらいいんだろう。
自分が限界だったときは全ての連絡を返すことができなくなったから、連絡してよってせっついてくる人が無理ですべての連絡手段を絶っていた。ポジティブにこうしなよって言ってくれる友達も、言ってることは正しいからうんって返すけれど、溜まってる膿が全然出しきれていなくて、その子に見えるところでネガティブなことが言えなくなったりしてしんどかった。
ネガティブなことを話すのって相手にとって負担なんじゃないかって考えてしまう。それがストレスになって誰にも話せなくなったりするから、お互いの話を笑い飛ばせるような友達と話せるといいねと思う。
相手が負担に感じないような文章をつくるために時間をかけたけど、さくっと短文で返したほうがよかったかもしれない。返信するのが無理だったらスタンプだけでいいからね、と書いて送った。

年末に失くしたと思って再発行したクレジットカードを、部屋の奥の靴箱のなかから発見。なぜこんなところに入っているのかさっぱりわからない。怖い。絶対に自分がやっているはずなのも怖い。

 


20200117

 

後輩のOちゃんにインタビュー。こどもの頃の遊びについて。
17時の鐘が鳴ったあとも隣の家の友達と遊びたくて、それぞれ帰って家の窓から顔を出し、一緒にリコーダーを吹いていた、という話をしてくれた。インタビューの本筋とは全然関係ない話だったのですが、あまりに良いエピソードだったので詳細に渡ってメモをとった。家は窓から顔を出しても話ができるほどの距離ではないらしく、ただただリコーダーを吹いていたらしい。メンバーはOちゃんとOちゃんの弟、弟の同級生、たまに別の家の一個上の友達が参戦していたとのこと。よく吹いていた曲は、ルパン三世

帰り際、先輩が「実はこの五日間唇が痺れ続けています」などと言い出す。検索したら「脳梗塞の恐れ」と出てくるので、はやく病院行きなさいよと怒る。が、サコッシュがどっか行って財布がないらしい。アホすぎる。わたしの運転で、牛丼の持ち帰りを立て替えてあげて帰る。
家で牛丼を食べながら、「最後の晩餐が牛丼でいいのか」「いままでの人生で一番楽しかったこと何?」「死ぬ前にちゃんと湯船に浸かろう」「おれが死んだら泣く?」など、明日死ぬ設定で盛り上がる。先輩、たまたま同じ家に住んでいる同僚と思っているけれど、本当に朝から晩まで一緒にいるし、先輩と話しながら言語化できることが多くある。明日死んでたら普通に悲しいと思う。
結局、唇のはしびれはうつぶせ寝をしているときに一点集中で口元に体重をかけていたことが原因だったらしく、寝相を改善したらしびれがなくなったとのこと。サコッシュも普通に家にあった。